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【 台湾 建築 / 台湾 レトロ 建築 】
「台湾のいいものをもちかえる」に続いて今回はこの本『 台湾レトロ建築案内 』を手に取ってみた。
アンティークやヴィンテージと並び、 レトロ と聞いたらまず、私の興味としては開かずにはいられない。
本と一言でお伝えしたが、そう片付けるには勿体ない、中には所狭しと、台湾レトロ 建築 による、美しい写真たちで埋め尽くされている。このクオリティーはもはや『 台湾レトロ建築 バイブル 』とでも言うべきだろう。
建物 に用いられている技法の多くは、日本統治時代に伝わった技術らしく、確かにかつての日本建築の要素も随所に見受けられるが、和洋折衷と言うべきか、様々な文化の融合したその建築物たちの中に、明らかにどこか台湾らしい要素も多く盛り込まれている、まさに 台湾建築 だ。
遊び心溢れる鉄窓花は、窓にインパクトをもたらし、住む人の願いや、仕事柄、人物像を伺わせるようなデザインも多く、その仕事には職人の高い技術とセンスが見て取れる。
色彩豊かに施した人造大理石で空間を鮮やかに彩り、長い年月を経てきたと思えないほど、街を鮮やかに沸き立たせている赤レンガは、写真で見ても分かるほどに質の高い物が多く使われている、組み合わされたレンガによってモチーフが施されているものまである。
同じ時代に建てられた建築物や住宅が、日本からほぼ姿を消したなか、これほどまでに当時の建物が残っているのには、台湾の温暖な気候も少なからず影響しているだろう。
それを裏づけるように、多くの建物には開放的に窓が配置されている。
窓から差し込む自然の光は、建物の奥にまで心地よい明かりを届け、室内に陰影をもたらし、見る者の目に涼をもたらしているかのように映る。
「どこか台湾らしい要素」と綴ったが、何が台湾らしいのだろう?夢中でのぞき込んでいた写真たちを、少し距離を取って眺めてみた。
そして、今度はパラパラと足早にめくってみた。
そして、ふと気がついたことがあった。「生命感」というのだろうか。
どの写真にも写っているのは古い建築物であるにもかかわらず、何故か生命感を感じるのだ。
無機質な物には、彩りや材質で生命感を加え、彩りとなるものの殆どは生物や植物をモチーフにしている。
そして、一つの法則のように多用されている美しい海の碧のような緑(エメラルドグリーンと言うのだろうか)と花のように鮮やかな赤が、本当に花のように時を重ねてきた建築物たちに華やかに色を添えている。
同じ時代の日本の建築には「静」が表現されていることが多いと感じるのだが、台湾の建築物たちにはその「台湾らしい要素」が建物に生命感を与えているように感じられるのだ。私が感じた「台湾らしい要素」はきっとこれなのだと思う。
私が勝手に思うのだが、台湾の人たちは無意識の中に「自然こそが最高の美」という感覚が存在しているのではないだろうか?台湾の若いクリエーター達から溢れる素朴さと斬新さも、そんな台湾人独自の芸術的生活の中で暮らすうちに、生まれながらに無意識のすりこみとして育まれてきたのかもしれない。
台湾に住む人も、又、台湾を訪れる人も是非このバイブルを片手に歩いてみて欲しい。きっとまた、新しい趣の台湾が見えてくるはずだ。
『 台湾レトロ建築案内 』
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