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金門島に行こう!PART2~軍事観光も、それ以外も見どころがいっぱい

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台湾 金門 / 湖井頭戦史館 / 翟山坑道 / 瓊林民防館 / 特約茶室展示館 / 黄輝煌洋樓 / 金水小学校 / 斜坡客桟 KIVALA HOSTEL / 百花 KOKI 洋樓喫茶 】

はじめに

 金門島でもっとも知名度が高い見どころは、島内各地に残る軍事史跡でしょう。かつて中華民国と中華人民共和国は、金門島周辺を舞台に何度か直接戦火を交えています。当時は旅行で金門島を訪れるのは非常に難しく、一般の観光が可能になったのが1992年に戒厳令が解除されてから。それ以降は、これらの軍事史跡を観光の目玉として売り出すようになりました。緊張感が漂う施設が多いのですが、規模の大きさや中国大陸の近さなどに驚くこともしばしば。台湾島とはかなり趣が異なる旅行を体験できます。

1.のどかな小金門は台湾と中国の軍事的緊張の最前線だった

 金門島は、中国大陸の福建省厦門に非常に近い場所にある島ですが、実はさらに大陸に近い島があります。それが小金門(烈嶼)です。中国大陸との距離は最短で5km程度。そんなかつての激戦地に、金門における数々の戦闘に関する資料などがじっくり見られる資料館があります。それが「湖井頭戦史館」です。

 ここは小金門のなかでも特に大陸に近い場所で、館内ののぞき窓からははっきりと厦門の街並みが見えます。それだけでなく、かつて金門に駐屯した兵士たちの家族などに向けた肉声を収録した「公衆電話」があり、当時の兵士たちの生の声を聴くことができます。このような施設がなければ、何の変哲もない離島のはずれの海岸ですが、こんなのどかな土地でかつて激しい交戦があったかと思うと、とても複雑な気持ちになります。

【施設情報】

湖井頭戦史館

住所:金門縣烈嶼鄕湖井頭村
開館時間:8:30~17:00(無休)

2.金門島の巨大な秘密要塞に潜入する~翟山坑道

 中国と台湾の軍事対立は、期せずして自然の中に巨大な人工物を誕生させました。たとえば、こちらの「翟山坑道」は、1958年に勃発した八二三砲戦の時期から5年の歳月をかけて建設された、巨大トンネル。42隻もの水道小艇を格納できるほどの巨大な洞穴が人工的に作られたものですが、今では軍事用に使われることはなく、一般観光客に開放されています。

 最近は、この広くて独特な空間を使って音楽会が開催されることもあるようです。確かに坑道の中はかなり音が響きそう。どんな音色を聞かせてくれるのか、一度聴きに来てみたいですね。

【施設情報】

翟山坑道

住所:金門縣金城鎮90號
開館時間:8:30~17:00(無休)

3.住民用の軍事避難トンネルに入る~瓊林民防館

 金門で国防に携わったのは軍人だけではありませんでした。一般の住民も有事に備えて、日ごろから訓練を受けていました。そして、民間人用の避難トンネルも建設されていました。その一つが「瓊林民防館」です。瓊林という小さな集落にある集落の行政施設。ところが、中に入ると、そこは民間防衛用のトンネル「瓊林戦門坑道」になっています。清掃協力10元を払って、トンネルに入ります。トンネルは細く長く続いており、夏でなくとも蒸し暑さを感じます。途中には、民間の訓練が盛んに行われていたことを示す品々が展示され、金門の軍事衝突が、地域の人々を巻き込んだものであったことが実感できます。

3ー2.トンネルを抜けるとそこには島の守り神がいた~風獅爺

 そして、ゴールについて階段を上がると、そこにはちょっとユーモラスな獅子の像が出迎えてくれます。これが「風獅爺」です。金門は一年中強い風が吹き、厳しい気候条件の島です。そこに、福建から持ち込まれた石獅が防風の守り神として信仰されるようになったのが、風獅爺のはじまりだそうです。今では、島内各地に無数の風獅爺が立っており、人々の生活を見守っています。軍事対立の産物である民間防衛トンネルを出ると、そこには昔ながらの地域の守り神の風獅爺。この組み合わせに、なんとも不思議な思いを抱かずにはいられませんでした。

【施設情報】

瓊林民防館

住所:金門縣金湖鎮瓊林
開館時間:8:30~17:00(無休)

4.あまり語られない慰安婦を実態を学ぶ施設~特約茶室記念館

 数多くの傑作を生みだしている台湾映画。その中でも、かなり高い評価を得ている作品の一つが「軍中楽園」です。この作品は、かつて金門島に存在した慰安婦施設「特約茶室」を舞台にした異色のドラマです。国民党軍はかつて、金門島に駐留していた兵士たちの性的欲求を満たすための慰安婦施設を島内に何軒も建設しました。その一つが修復保存され、軍のある側面を後世に伝える施設として一般公開されるようになりました。これが「特約茶室展示館」です。敷地内には、当時、女性が兵士の相手をしていた部屋の様子が再現されており、見ているととても複雑な気持ちにさせられます。慰安施設の仕組みなどの資料も展示され、軍が管理する慰安施設の実態を冷静に学ぶことができます。

 敷地内にはカフェもあり、ここで見学した内容についてゆっくりと思いを巡らせるのも良いかもしれません。

【施設情報】

特約茶室展示館

住所:金門縣金湖鎮小径126號
開館時間:8:30~17:00(無休)

5.金門の見どころは軍事モノだけではない!伝統集落の建物にも注目!

 さて、金門の観光地は軍事関連の者だけではありません。実は、金門島は台湾島とは異なる建築様式の伝統的な建物がたくさん残る、建築好きにはとても魅力的な島なんです。

 金門島には、島を出て東南アジアなどでビジネスを成功させ、故郷に立派なお屋敷を建てる実業家が数多くいました。その中でも、特に保存状態がよく、ひときわ美しさを感じさせる建物が島内南部の集落・水頭にある「黄輝煌洋樓」です。黄輝煌は、約100年前にインドネシアに進出して大きな材を成した人物。この人が巨額の費用をかけて故郷の金門・水頭集落に、このような立派な屋敷を建てました。一時は建物が荒れたこともあったそうですが、2000年代に入り、県定古蹟に指定。黄一族の協力もあって、金門の歴史の生き証人として長く保存・公開されるようになりました。

 洋樓の正面左側にある高い塔樓は「得月樓」と呼ばれ、もともとは外敵から屋敷を守るための塔だったのですが、今ではきれいに修復され、水頭集落のシンボルになっています。

【施設情報】

黄輝煌洋樓 / 得月樓

住所:金門縣金城鎮前水頭45號
開館時間:8:30~17:00(無休)

5ー2.教育熱心な金門の象徴~金水小学校

 黄輝煌洋樓のすぐ近くには、100年くらい前に建てられた洋風建築の学校が残されています。これが「金水小学校」です。黄氏が地域の学生のために設立した学校で、当時としては最先端を行く立派な洋風建築の校舎でした。内部は、建物がある水頭集落だけでなく、金門出身の華僑の活躍を示す資料がたくさん。 黄輝煌洋樓の展示とあわせて見ると、金門の歴史や文化、南洋への進出などがかなり詳細に学べます。

【施設情報】

金水小学校

住所:金門縣金城鎮前水頭47號
開館時間:8:30~17:00(無休)

6.歴史建築を使った民宿に泊ってみよう

 大勢の観光客が訪れる観光エリアから少し外れた場所にある古崗の集落。ここには、レンガ造りの伝統的な家屋がたくさん残り、さながら生きた建築博物館のようです。今回私が宿泊した民宿は、この小さな集落にあります。名前は「斜坡客桟 KIVALA HOSTEL」。金門の伝統的な家屋をリノベして民宿にしたもので、レトロな雰囲気に包まれて一夜を過ごすことができます。

 伝統家屋といっても、内部はきれいに整備され、普通の民宿よりもむしろ快適なくらい。母屋は共同スペースに改造されていて、とても快適。一日の旅の行程を振り返りながら、静かな夜を楽しめます。(此方の民宿はテレビがありませんでした)

 集落に食堂はないので、朝食や夕食は、金城などの市街地で調達しなければなりませんが、最終バスの時間まで金城でゆっくり食事をして、古崗の民宿に戻ってきても良いですね。金門島では、このような伝統建築の民家を民宿に改造して宿泊できるようにしているところがとてもたくさんあるようです。金門を訪れたら、ぜひこのような伝統建築リノベ民宿にも泊まってみて下さい。金門の旅の良い思い出になると思います。

【店舗情報】

斜坡客桟 KIVALA HOSTEL

住所:金門縣金城鎮大古崗72號
営業日:基本的には無休

7.築100年の歴史的建造物が金門一のレトロおしゃれカフェに変身!

 今回、偶然お世話になった古崗の集落ですが、実はここに、歴史建築を活用したとてもレトロなカフェがあるんです。「百花 KOKI 洋樓喫茶」は、1922年に建設されたこの集落の学校「古崗」をリノベして、文化スペースやカフェとして活用しているものです。営業時間が短く、アクセスも良くないカフェですが、行ってみると、たくさんのお客さんが訪れており、金門島有数の人気レトロカフェであることが実感できました。

【店舗情報】

百花 KOKI 洋樓喫茶

住所:金門縣金城鎮54號
営業時間:11:30~17:30(火曜・水曜・木曜定休)

いかがでしたか?金門島は、軍事的な歴史史跡に加えて、台湾島とはかなり様式が異なる古い集落を見学したり、個性的なグルメやカフェを探訪したりと、見どころが尽きません。台北・台中・高雄などから飛行機でわずか1時間。機会があったら、個性的な金門島の旅をぜひ楽しんでみて下さいね。

 

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