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花蓮県歴史散歩~豊かな自然残る花蓮の郊外で日本時代の足音を訪ねる

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花蓮県 観光 / 慶修院 / 林田山林業文化園區 / 花蓮觀光糖廠 / 新城天主堂 / 佳興冰菓店 】

はじめに

花蓮県は、自然豊かで県内各地に様々な見どころが点在する魅力的な県です。自然の魅力もさることながら、実は日本時代の面影があちこちに残っているんです。花蓮は県全体が、日本統治時代になってから本格的に開発が行われたこともあり、当時をしのぶことができるスポットは点在しています。ということで今回は、花蓮市内を離れ、郊外の日本の面影を探ってみようと思います。(写真は、林田山林業文化園区で保存されている森林鉄道の車両、1枚目は林田山利業文化園区の入口)

1.花蓮に日本のお寺が台湾にある!

花蓮の郊外・吉安に小さなお寺があります。ここは日本統治時代に建てられた「慶修院(当初は吉野布教所)」。正真正銘の日本の寺院として建てられたものなんです。吉野布教所は、1917年に真言宗の寺院として建立され、日本から台湾の花蓮に移住してきた日本人の心の支えになってきました。

戦後は、慶修院と名前を改めましたが、長年地元の方々にしっかりと守られ、1997年に国の古蹟に指定され、花蓮を代表する観光地になっています。コロナ禍でも多くの台湾人が参拝に訪れ、台湾の廟とはまた一味違った寺院の雰囲気を味わっています。

この寺院でぜひ見ていただきたいのが、お土産屋さんの裏手に展示されている古い写真パネルです。これらは、日本統治時代に当地・吉野村(現・吉安郷)の様子を伝える貴重な写真です。まるで日本の古い写真を見ているかのような錯覚に陥りそうですが、吉野村はかなり大規模な開拓村だったようで、新天地を求めて花蓮にやってきた日本人の思いが伝わって来るようです。

【施設情報】

慶修院

住所:花蓮縣吉安郷中興路345-1號
開館時間:8:30~17:00(火曜定休)
アクセス:花蓮客運バス(1131・1139番)もしくは太魯閣客運バス(303・303A番)で吉安郷公所(慶修院)下車、台鉄吉安駅から徒歩30分

2.花蓮の山奥に日本時代の林業基地の跡が残る

花蓮縣中部の平野部から山間部に入る境目の辺りに、日本統治時代に台湾における林業の一大中心地だった場所があります。それが通称「林田山」と呼ばれるエリアで、1918年に当地での森林伐採が始まってから戦後しばらくの間までは、林業で大いに栄えました。現在では、林業自体は行われなくなり、その代わりに林業文化園区として整備されました。最盛期の林田山は森林鉄道が走り、診療所や商店、学校など一通りの都市機能がそろった大きな町だったそうですが、今では残された民家にわずかに人が住むだけです。
園区はとても広く、中心部にはたくさんの施設が残されています。その多くが、日本統治時代や戦後台湾の建物を生かしたもので、園区内を散策しているだけで、林業が華やかだった時代にタイプスリップした気分になれます。森林鉄道の線路跡や車両が残され、土産物コーナーやカフェまであり、丁寧にみれば1日かけて楽しむことができます。

【施設情報】

林田山林業文化園區

住所:花蓮縣鳳林鎮林森路99巷99號
開館時間:9:00~17:00(月曜定休)
アクセス:花蓮駅から台湾好行バス303番で林田山林業文化園区下車(ただし、バスが1日2本と極めて少ないので注意して下さい)。もしくは鳳林駅または光復駅からタクシー(現地ではタクシーが常駐しないので、行きのタクシーの運転手さんに帰りに迎えに来てもらうのが良い)

3.日本統治時代の台湾を支えた製糖工場の跡地を歩く

花蓮縣の中でも南部に位置する光復郷。ここでは日本統治時代に、台湾東部最大級の製糖工場が建設されました。サトウキビ産業は、日本統治時代の台湾農業の主力となっており、台湾の経済をしっかりと支える重要な存在でした。そのため、台湾では南部や東部を中心に大きな製糖工場がいくつも作られました。今でも、サトウキビ産業の名残で台糖という製糖会社が運営する観光工場があり、名物のアイスクリーム他花蓮にちなんださまざまなお土産を買うことができます。
光復(日本統治時代は大和)には、工場だけでなく職員のための宿舎が多数建設されました。その名残が製糖工場脇の古い区画に残されています。これらの建物が修復され、今では宿泊施設として活用されています。私が訪れたときは、ちょうど宜蘭縣の高校生が宿泊学習に来ていて、生徒たちはそれぞれの建物に宿泊して、日本時代や日本家屋についてリアルな体験をしていました。私もいつか、ここに泊まって製糖産業華やかなりしころに思いを馳せてみたいと思います。

【施設情報】

花蓮觀光糖廠

住所:花蓮縣光復郷糖廠街19號
営業時間:アイス売店9:00~20:00、その他の商店9:00~18:00(コロナの影響で営業時間がしばしば変わります。行く前に改めて確認することをお勧めします)
アクセス:台鉄光復駅から徒歩10分(バス路線もありますが、本数が少なく時間がとてもかかるため、台鉄の自強號などで訪れるのがベターです)

4.太魯閣渓谷の入口の町に残る不思議な神社

太魯閣渓谷の玄関口として知られる、花蓮縣北部の新城の街。多くの人が通過していくこの街に、ちょっと変わった神社の跡があります。台鉄新城駅から徒歩15分くらい。新城の中心部にやって来ると、やがて鳥居のようなものが見えてきます。近づくと奥にはより本格的な鳥居が。この神社は、1937年に建てられた新城神社で、戦後は神社建築は破壊されてしまいましたが、鳥居や石灯籠、狛犬などは破壊を免れ、今でも見ることができます。
実はこの神社の跡地を管理しているのは、戦後すぐに建てられた新城天主堂。神社の本殿があったと思われる場所にはマリア様の像が置かれるなど、少し不思議な状況になっていますが、異教の遺構を今日まで守り続けてくれた天主堂には感謝したいですね。

【施設情報】

新城神社跡

住所:花蓮縣新城郷博愛路64號
開館時間:24時間無休
アクセス:台鉄新城駅から徒歩20分。もしくは花蓮客運バス(1126・1129番など)で新城公園下車すぐ

4-2.新城で大人気のさわやかドリンクショップ

そして、神社跡から徒歩数分のところに、今、台湾で大人気のレモンジュースショップ「佳興冰菓店」があります。日によっては食事もできますが、多くの人のお目当ては、名物のレモンジュース。酸味はあるものの思ったよりも飲みやすく、週末ともなると店先には大行列。これを片手に花蓮やタロコ渓谷に行く人も多いようです。レトロな建物は、観光客の撮影スポットになっていました。
新城の中心部はとても小さな集落なのですが、カフェや食堂のレベルが高く、神社見学の後で街をぶらぶら散策するのも楽しいです。

【店舗情報】

佳興冰菓店

住所:花蓮縣新城郷博愛路22號
営業時間:8:00~17:00(食堂部門は10:00~16:00水曜定休)
アクセス:台鉄新城駅から徒歩20分。もしくは花蓮客運バス(1126・1129番など)で新城佳興冰果室下車すぐ

さいごに

いかがでしたか。さすがに花蓮市内よりもアクセスは不便になってしまいますが、どれも行く価値が高いスポットです。太魯閣だけではない、花蓮縣の魅力。それは花蓮郊外の各地にも点在しています。機会があったら、ぜひいずれかのスポットを訪れてみてください。(写真は、新城天主堂。左下に石灯籠が見える)

 

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