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【 祈堂老街 / 金瓜石 / 彩虹階梯 / 六坑斜坡索道 / 九份観光 / 新北市 】
目次
はじめに~祈堂老街ってどんなところ?
台湾で日本人に一番人気のある観光地・九份。コロナ以前は、日本などの諸外国から多くの観光客が殺到していた九份のすぐ近くに、時の流れから取り残されたかのような静かな老街があります。祈堂老街という名のこの小さな老街は、かつてこの一帯で鉱山開発が盛んだったころは、九分に負けないほどの賑わいを見せたそうです。ほとんど観光地化されていない、この静かな集落を歩いて、古き台湾の趣を感じてみましょう。
祈堂老街は、新北市瑞芳区祈堂路を中心にできあがった小さな老街です。金瓜石と言われるこの一帯は、日本統治時代に始まった金や銅を採掘する鉱山が開発されたのをきっかけに急激に人口が増加し、祈堂路一帯の地区も鉱山関係者が多数住む、にぎやかな街へと発展しました。
戦後もしばらくは金や銅の採掘は続けられましたが、のちの鉱山の操業停止に伴い、人々は次々とこの街を離れ、今では数百人がひっそりと暮らす静かな集落になっています。老街は山の中腹にあり、その中でも一番低い場所が老街の中心になっています。一時期は大変寂れた祈堂老街ですが、今では静かなレトロを求めて少しずつ観光客もやって来るようになりました。
それでは、老街を少しずつ歩いてみましょう。
1.老街のフォトスポット~レインボー階段(彩虹階梯)
高低差のある集落にはたくさんの坂や階段があります。その中には、鮮やかにペイントされた階段があります。台湾では、古い建物などをカラフルに塗ってインスタスポットとして人々の注目を集めるところが増えていますが、ここは周囲が地味な色で囲まれているため、虹色のカラフルなペイントがひときわ目立ちます。ときどき、階段をバックに写真を撮る人の姿を見かけます。
2.街の中に残る廃屋
祈堂老街を歩くとあちこちで廃屋を見かけます。かすかに生活感を残すものから、かなり崩壊が進んでいるものまでさまざまですが、この狭い街の中にびっしりと建ち並んでいた頃の様子を想像するととても不思議な気分になります。住民の方が住んでいる住宅も、かなり古いものが多く、どのアングルもレトロを感じさせます。
3.鉱山繁栄時の九份について学べる金瓜石文化館
「金瓜石文化館」は、当地を故郷とする人たちが、九份・金瓜石地域の歴史を構成に伝えようと数年前に作られた資料館です。実は、老街から坂を上がったところに、公営の「黄金博物館」が2004年にすでに開業しています。こちらは、観光地としても比較的有名で、九份とセットで訪れる観光客もそれなりにいます。
すでにこのような立派な施設があるのに、なぜ新たに同様の施設を建てたのか。それは、この町で生まれ育った人たちの視点で、鉱山や街の栄枯盛衰を後世に伝える施設をどうしても作りたかったからだそうです。ここでは、実際に鉱山で働いていた「山の男」たちが、鉱山にまつわる様々な話を詳しく聞かせてくれます。
館内には、当時と建物(住宅や神社など)の模型なども展示されており、「黄金博物館」と比較しながら見学するのも面白いかもしれません。
【施設情報】
金瓜石文化館
住所:新北市瑞芳區祈堂路74號
開館時間:10:00~17:00(土日祝日のみ)
4.金瓜石における戦時中の負の歴史を知る場所
この集落には、歴史の影の部分を後世に伝える史跡もあります。それが「二戦金瓜石戦俘営紀念園区(国際終戦平和記念園区)」です。九份エリアには、第二次世界大戦中に連合国側の捕虜が多数連行され、鉱山の採掘などに従事させられました。戦争中ということもあり、労働環境は大変厳しく、命を落とす捕虜も多数いたとのこと。
鉱山の経営は輝かしい発展とともに影の部分も発生します。そうした鉱山の光と影をともに知ることもまた、旅の意義になるのではないでしょうか。
【施設情報】
二戦金瓜石戦俘営紀念園区
住所:新北市瑞芳區祈堂路40號付近
開館時間:24時間無休
5.かつての鉱山ケーブルカーの遺跡が絶景スポットに
祈堂老街のはずれには、周囲の山々や遠く海を眺められる絶景スポットがあります。それが、「六坑斜坡索道」の跡地です。ここはかつて、鉱石運搬用のケーブルカーが走っていたのですが、閉山とともにケーブルカーの軌道も廃止。わずかに頂上側の建物の一部は廃墟として残っています。こんな山深い場所にケーブルカーがあったとは想像しづらいのですが、廃墟の近くにある説明板を読むと、日々大量に採掘される鉱産資源が次々とふもとに運ばれていたことが分かります。
ちなみに、廃墟の中は危険防止のため、立入禁止。ときどき廃墟まで入り込んで写真を撮っている人がいるようですが、旅人のマナーとしてそのような行為はやめておきましょう。
【スポット情報】
六坑斜坡索道
住所:新北市瑞芳區祈堂路53號
開館情報:24時間無休
6.静かな老街でコーヒーブレイクはいかが?
祈堂老街は、決して大きな通りではありませんが、一休みする場所も欲しいですよね。もちろん、祈堂老街にもカフェや食堂は何軒かあります。その中で特に風情を感じられるカフェをご紹介します。
こちらの、「散散歩咖啡民宿」は、築60年以上の日本式の古い住宅をリノベしたカフェ兼民宿で、レトロで落ち着いたお店は、祈堂老街の雰囲気にぴったりです。この町のカフェや食堂を何軒か訪れて感じるのは、どこも騒がしさと無縁で、落ち着いて食事やコーヒーを楽しむことができるということです。多くの人は、昼間に散策を終えて台北などに帰ってしまいますが、いつかこの民宿に泊まって、夜の静寂に包まれた祈堂老街を歩いてみたいです。
【店舗情報】
散散歩咖啡民宿
住所:新北市瑞芳區祈堂路172號
営業時間:現在、事前予約制をとっています。変動が大きいので、詳しくはお店までお問い合わせください。
さいごに~アクセス情報
祈堂老街までの台北からのアクセスは、実はかなり良いです。西門町やMRT北門駅からであれば、965バスに乗り、黄金博物館もしくは瓜山國小で下車。北門駅のバス停は台北駅からも歩いて行けるので、とても便利です。もう一つの路線は、MRT忠孝復興駅から1062バスに乗って行くルート。こちらのバスは老街のはずれにある勧済堂バス停が終点なので、そこで降りて散策を始めることもできます。どちらのバスも九份を通るので、行き帰りに九份に立ち寄ることも可能。隣り合う老街で喧騒と静寂の対比を楽しむのもよいかもしれません。
定番の九分だけでは満足できないという方も、この老街を歩けば、ゆっくりとノスタルジーに触れることができます。ぜひ、次の台湾旅行の行き先候補に入れてみてくださいね。(写真は「散散歩咖啡民宿」の店内です)
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