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台湾の「いいもの」〜made in Taiwan

台湾のいいもの

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書籍レビュー / 台湾のいいものを持ち帰る 】

表紙に写る、何とも昭和の香り漂う炊飯器のような鍋が気になってこの本を手に取って見た。

デザインといい、私が生まれた頃(私は1971年、昭和46年生まれ)に家で使われていた炊飯器を彷彿とさせるその姿形に、幼い頃を過ごした家の雰囲気や匂い、家の近所を走り回っていた頃の想い出や懐かしさといった感情までも携える「昭和」な佇まいを感じながら、しかし、本題に『台湾の「いいもの」を持ち帰る』とある…「持ち帰る」と言うことは、この炊飯器は現在も台湾で販売されているという事だろうか?(なぜ、そこを疑問に思うのかと言うと、日本では昭和の時代の商品が、当時と同じデザインと仕様で、ましてや新品で店頭に並んでいる事はほぼ皆無に等しいからだ)などと思いながら本を開いた。

 

見ると、これは大同と言う会社の電鍋(炊飯器)で、日本で発明され、1960年に 日本の東芝の技術提供により大同から発売された商品だと言うことがわかった。どうりで、私の家にも同じような炊飯器があったわけだ。 しかし、驚くのはまだ早かった。それは、台湾の人がこの炊飯器を多種多様に使い倒していると言うことだ。蒸し料理や、スープ、そして内釜に直接生地を貼り付けてパンを焼いてしまう強者までいると言うから本当に驚いた。

私の家で使われていた炊飯器で、母が炊飯以外の目的に使っているのを一度たりとも見たことがない、多分私の母だけではない、日本の母たちは、この炊飯器を炊飯以外で使うという目的で使った人は、私が知る限りほぼいないと思う。そこに 台湾人の発想力と、よく言えばチャレンジャー精神、悪く言ってしまうと怖いもの知らずさを感じてしまった。 住む場所が違えば、使い方も色々あるものだ。と、関心さえも覚えた。

本を見進めていくと、日用品から食品に至るまで、台湾の「いいもの」たちは、趣から想像の中に漂う香りまで、素朴でどこか懐かしく、人の温もりを感じられるものたちばかり。

台湾が好きな日本のリピーターたちは、台湾を訪れる度に、街のそこここに溢れる「いいもの」たちに、幼き日々の懐かしい記憶を重ねたり、心の遠く奥底に忘れられていた落ち着く場所を感じとっている人が多いのではないだろうか。

そんな台湾の「いいもの」にも感じられる「ノスタルジー」さは、最近の日本の若者達の間でも新鮮な感覚として「昭和レトロ」または「レトロ可愛い」などと好まれている。(※Retroとはretrospective(回顧)の略。古いものを懐かしむと言う意味で使われている。)家電なども、機能さえ進化しているものの、デザインは敢えて懐かしさを感じさせるものが店頭に増え、それは住宅のスタイルなどにも少なからず影響してきているように思う。

昭和の頃に多く見られていた平屋住宅が近年見直されつつあり、新築であっても、長年住み続けてきたかのような雰囲気を醸し出すインテリアスタイルを今の主流と捉え、多くの住宅メーカーも有力な商品として提案、販売してきている。 まさに回顧(懐古)なスタイルが世代を超えて浸透してきているように思う。そして、自分や、家族を取り巻く、「衣,食,住」の環境についても、極力、天然の物、ナチュラルな素材を見直し、取り入れたいと考えている人が増えてきていると感じる。 そんな日本の今の流れに、何の違和感もなく、すんなり溶け込める、そんな雰囲気と素材を台湾の「いいもの」たちは持っているのだ。

それは、昔からある「いいもの」に限らず、今の台湾の若い世代のクリエーターが作り出す物たちからも感じられる。多くの台湾のクリエーターたちは、素朴さと斬新さという相反する感覚を併せ持つ、個性あるスタイルを生み出すクリエイティブさを持っているように感じる。彼らを取り巻く「台湾」という環境こそが彼らを育んで来たのだろう。そんな新古に限らず、台湾の「いいもの」たちは日本でも多くの需要を生み出すのではないだろうか。

思うと少し前まで、日本にも「made in Taiwan」の製品が溢れていた。台湾製品は品質が良く丁寧な造りの物が多いため、日本人も安心して購入していたように思う。 それが、近年めっきり「made in Taiwan」を見かけなくなった。台湾製品の丁寧な造りや、健康志向の食品や商品は、日本でも改めて多いに受け入れられて行くべきではないだろうか。

台湾のいいものを持ち帰る

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