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【台湾人】「タイワニーズ 故郷喪失者の物語」の感想

タイワニーズ 故郷喪失者の物語

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書籍 / タイワーニーズ / 野嶋 剛 】 

「タイワニーズ 故郷喪失者の物語」の感想

みなさんこんにちは。これまでの投稿と違って、今回共有したいのは、本の感想です。

今回のテーマは少しシリアスな内容なので、簡潔に紹介したいと思います。

もし多くの皆さんが興味を持ってくれるようであれば、いつかまたこうした類の本を紹介していきます。

この本の作者は野嶋剛氏。新聞記者であり作家でもあります。

私も野嶋氏について、台湾のメディア上で彼の文章を読んで共感することが多かったことで、同氏の存在を知りました。

それ以降に発表された記事や書籍は、ほとんど読んでいます。

 

今回紹介する「タイワニーズ」は、野嶋剛さんの最新作です。

タイワニーズ 故郷喪失者の物語

タイトル:「タイワニーズ 故郷喪失者の物語」

著者:野嶋剛

 

内容紹介

台湾出身者で日本で活躍する10人のタイワニーズ(台湾人)を軸に、

彼らの知られていない人生を著者のインタビューによってストーリーに編み上げ、

彼らの人生と、それらが日本と台湾の交流にどのように影響を及ぼしてきたのかを紹介している本です。

 

私はメディアで野嶋さんの見解を見て、同氏の文章に興味を持ちました。

野嶋氏は、日本は現在、台湾に対して最も興味を持っている時期だとみています。

しかし、日本のことをそこそこ知っている台湾人と比べると、多くの日本人は台湾についての知識がほとんどなく、理解が乏しい、と言っています。

野嶋さんはこの現状を嘆いて、台湾と日本の交流に専念しているのです。

 

日本人の台湾についての知識

私はこのような彼の問題意識を多少知っていたので、新しい著作を読み始めました。

私は自分の興味から、ふだん日本の時事問題やオンラインニュースもよく読んでいます。

台湾に関する報道に対して、日本人の友人たちは以下のようなメッセージを書き込んでいることがよくあります。

 

「なぜ台湾は独立宣言をしないのですか?」

「日本人として台湾の独立を強く支持している」

 

そのようなメッセージを見て、私は台湾人として苦笑するほかありません。

台湾の歴史や現状について少しでも知っていれば、

独立したいと思っても、独立を宣言することができない状態にあることは、理解されるはずです。

このようなメッセージを見るたびに、私が深刻に受け止めざるを得ないことは、多くの日本の友人が実際には台湾の状況をあまり知らないという事実です。

 

したがって、野嶋さんの著書や台湾の歴史をあまり知らない日本人の友人には、

この本から読み始めることはお勧めしません。

 

この本は現在日本語でしか入手できないので、私も日本語で読みました。

日本語原文を読むことができる台湾人にとって、この本はそれほど難しいものではありません。

近代義務教育を受けた台湾人であれば、本書に載っている台湾の歴史の詳細は、もうあまり覚えていないかもしれない。

しかし、重要な事件やそのいきさつ、経緯については、記憶に残っているはずです。

 

もう少し台湾の歴史を知って欲しい

一方、台湾の歴史に精通していない日本人には、私は個人的には、この本は読むのが少し難しいかもしれないと感じています。

例えば、本の帯に書かれたキャッチコピー「日本は二度も台湾を捨てた。」

 

このコピーは、野嶋さんの他の作品にも登場した内容です。

一度目は日本が第2次大戦に敗れ、台湾が日本の植民地から中華民国となったとき。

二度目は、中共が国連に加盟したとき、日本は中共との外交関係を樹立し、中華民国(台湾)と断交したとき。

 

上記の説明を読んでも、

この歴史的事実の背後にある重大な意味を理解できる日本人の友人は、それほど多くないはずです。ましてや、解説がなければ全く理解できないでしょう。

 

この本は個人的なインタビューによる10人のタイワニーズの経歴を中心に編集されていますが、

しかし、彼らの人生が台湾と日本の関係にどのような影響を与えてきたのか、というところに焦点があたっています。

国家自体が、そして当事者自身が、どのような影響力を及ぼしてきたのか?

本書内の各人の伝記には、ときに台湾の歴史に関する叙述があり、各章ごとに台湾の歴史を解説するコラムがあります。

 

少なくとも、台湾の歴史と現在の状況を少しでも理解している人の方が、この本を読んで得るものがあると個人的に感じています。

私自身は、本書で紹介される10人のタイワニーズのうち、およそ半数は名前を聞いたことがありました。

彼らの人生の詳細はこれまで知らなかったし、残りの半分の方はその名前さえ知りませんでした。

しかし、どの人物であろうと、本書を通じて、彼らの台湾と日本に残した人生の軌跡を理解することができます。

一般的な歴史の授業では言及されない様々なエピソードもあります。

読書では、こういう新しい発見が非常に興味深いと思います。

 

台湾と日本が外交関係を断交したとき、実は背後で多くの人が実質的な両国関係を維持するために努力を行ったことは、私の印象に強く残りました。

また、蓮舫さんの政治問題は、台湾でもかなり報道されました。

 

台湾の歴史を基本的に理解しているが、より深く理解したい場合は、この本を読むことを強くお勧めします。

歴史についてはあまり知らないがそれでも読んでみたい日本人の友人たちには、

みなさんがこの本を読んで、どんなことを感じるのかに、とても興味があります。

ぜひ、あなたの感想や意見などをお聞かせください!

 

 

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